いい食2013.10.6
よしながふみの「きのう何食べた?」を何となく読みたくなって、
いちばん新しいのから読み返していたら止まらなくなり、
いま1巻までさかのぼって読み終わったところ。
主人公の筧さんは弁護士でゲイで、美容師で同じくゲイのケンジと同棲している。
で、毎日筧さんが料理を作っているわけなのだけど、
鍋を作るお話のなかに「もう今日は鍋だから副菜はいいか…」と筧さんが思うシーンがある。
でもやっぱり作らずにはいられない筧さんの背後に
「別に誰に強制されているわけでもないのに、
副菜好きな人間にはあともう一品作らねばという呪いがかかっているのだ」
というナレーションが入っていて、
それを読むたびにわかるわかるとうなずく私も相当に副菜好きな人間だ。
私の親はふたりともひどい偏食家で
しかも食事に対するセンスが非常にゆるく、
1歳の私にかっぱえびせん一袋とかカール一袋とか平気で食べさせていた(写真がある)り、
おかずが味噌汁(しかも具は麩のみ)だけとか、玉子焼きだけとか、
ひどいときにはふりかけごはんだけとかいう日もあった。
もう、腹ふくれりゃ何でもいいよね?的な食育で、
子供(私)は子供で食事に興味がないからふりかけごはんでも喜んで食べるし、
特に不満もなかったのだけど、
今思えば給食があったから私は何とか元気に育ったのだろう。
私が食事に気をつかい始めたのは高校2年のときで、
それまで菓子パンだのコンビニのおにぎりだの
食堂のうどんだのばかり食べていたものだから
太ってしまってダイエットしようと思ったのがきっかけだった。
で、すでにスポーツはばりばりやっていたので食事療法でいこうと思いついたのだ。
手を出したのは低インシュリンダイエットといういわゆる「炭水化物抜きダイエット」で、
ということはつまりおかずで腹を満たさねばならない。
そこから私は自炊を始めた。お弁当も自分で作りはじめた。
そしたら体重が1年で7キロ落ちた。
そして「うちの親は栄養管理が全然できてないじゃないか…」
ということに遅まきながら気づいた。
散々赤の食べ物だ黄色の食べ物だと家庭科で習っても、
やっぱり自分で料理しないと実感しないんだと思う。
れんたろうにごはんを食べさせるのは毎回とっても大変だ。
小さい子というのは米を食べたがらないことが多い。
パンは好きなのに、米はそんなに好きではないらしい。
なんとなく気持ちはわかるが、
真夜中にお腹をすかせてもらっても困るので、
何とか食べてもらわねばならない。
で、あれやこれやと工夫をする。お味噌汁をかけてみたり、おにぎりにしたり。
ふりかけは癖になるからほんとに最後の砦。それでもなかなか食べない。
とにかく子供(うちだけではないはずだ)は偏食だ。
はまるとそれしか食べない。三角食べなんて夢のまた夢。
れんたろうは最近かぼちゃのそぼろ煮と納豆が大好きで、
そればっかり食べる。
まあ、なんかかぼちゃって炭水化物っぽいし
たんぱく質も野菜もとれてるしいっか…
「少なくとも昔の私よりは全然栄養管理できてる」
最後には必ずこの言葉で自分を納得させる。
用意しても食べてくれないというのは、意外にしんどいものだ。
ところでうちの親はコーラだけは飲ませてくれなかった。
飲むと骨がとけるんだって教えられて、飲むとすごく怒られた。
それ以外は何でも食べてOKだった。
夫はその逆で、
かなり厳しい食事制限(お菓子は禁止、ジュースもだめなど)を受けていたらしい。
それはそれでストレスだったという。
私はのびのび好きなものを食べさせてもらってたから
その点でのストレスはなかった。
何でもだめではなく、そして何でもOKでもなく、
その中間でうまく食の楽しさみたいなもんがれんたろうに伝わればいいなーと思う。
食べることが好きなほうが人生絶対楽しいですからね。うん。
この間は下鴨神社の糺の森で左京ワンダーランドというイベントがあり
たくさんの飲食店が出たんだけど、
そのほとんどがオーガニック食材をつかった飲食店で、
どのお店もすごくおいしかった。
くるみとりんごのマフィンとか、かぼちゃのシフォンケーキとか、
サーモンときのこのキッシュとか、生ハムのサンドイッチとか(大人の酒のつまみに…)。
れんたろうに思う存分食べさせた。
「ぅおいし」ともぐもぐ言っててかわいかった。
安心して食べられてしかもおいしくて栄養たっぷりで、
そういうものがいいよね。
若い人が多いんだよな、そういうお店をやってるのって。
たぶん反動来てますよね。大量生産大量消費の。
だからかな、売り物の食べ物に美学とか哲学みたいなものを感じたなあ。
そういうのにあこがれる。
玄米を3合買って帰って炊いたら、すごくおいしかった。