音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

新しいときはいつもちょっと痛い

写真

春である。

4/1、4/2は保育準備期間ということで保育園がお休み。

3月にれんたろうの水疱瘡で5日間、自分の体調不良で3日間、

さらに4月に入ってこの2日間と、最近会社を休みまくっている私である。

また、3歳児検診が平日にあるので今月中にまた1日休まねばならない。

ほぼ手付かずだった1年分の有休が、この1ヶ月で一気に吹き飛んだ。

 

と思っていたら、ゆうべれんたろうが熱を出した。

「しんどい」と言ってぐったりしているのではかってみたら

38度以上ある。でも風邪の諸症状はない。熱だけだ。

保育園は37.5度以上だと登園してはいけないので、

また今日もお休みをいただくことにした。

まいったなー、と思う。

思うが、まいったなー、と言えない理由もあった。

 

れんたろうはクラス替えで乳児棟から幼児棟にうつり、

同い年の子だけでなく、年上の子とも同じクラスになった。

うちの保育園は、3歳から5歳まではクラス編成が年齢たて割なのだ。

そんな環境の変化からか、最近れんたろうは保育園に行きたがらない。

 

母親(そろそろ30歳になるというのに)の私から見ても、

4,5歳の男の子、というか自分の息子より年齢が上の子に対して

ちょっと怖いなと感じることがある。

つい最近、乳児棟にいたころ、

れんたろうが帰り道に出会った4,5歳くらいの男の子ふたりに

「あ、おにいちゃん〜」と声をかけたことがあった。

そうしたら彼らはれんたろうに向かって

「ああ?なんだよ」「へんなやつ」とお互いに目を合わせながら言い、

間近に来てしゅっしゅっとれんたろうの顔に向けてパンチをする真似をした。

れんたろうはぽかんとしていたのだけど、

やっぱり怖かったらしく笑顔が引きつっていた。

何しろ、2歳児クラスではそういう対応をこれまで受けたことがなかったので。

 

いじめだなんて言ったら大げさだということはわかっているし、

男子にはそんなコミュニケーションはよくあることなのだろう。

でもそれを見たとき

「あ、この歳になるとこういう感じがあるんだ」

と思った。

複数人でひとりをからかったり、

自分がそのおもちゃを欲しいから、といった理由以外で

暴力をふるう(まねも含め)ことをするようになる。

 

集団生活におけるヒエラルキー的なもの。

個人同士のぶつかりではなく、集団での関係性における摩擦。

私がいちばん苦手だったものだ。

 

私ははからずも、れんたろうが受けた行為を見て、

自分が昔されてずっと嫌だったこととか、

自分が学校に行きたくなかったときのこととかを

まざまざと思い出してしまって、

恥ずかしい話だがちょっと傷ついたし逃げたいと思った。

気の利いたことも言えず、足早にれんたろうの手を引いてその子たちから離れた。

「こんな小さな子たちに傷つけられてしまったな」

と、あとからすごく驚いた。

「何年たってもあの“嫌な感じ“は存在するんだな」

とも思った。

 

れんたろうは幼児棟にうつってからというもの、

毎朝泣いて行きたがらない。

「ようじさん(幼児棟)にいきたくない、

にゅうじさん(乳児棟)がいい」と泣く。

「ママといっしょにいる」「おうちにいる」と言う。

 

慣れるだろうとは思う。

先生はいい人だし、去年乳児棟で同じクラスだった

仲良しの子もいる。

 

でも久しぶりに、保育園で泣いて手を離さない我が子を見て、

当然心配になった。

 

熱は今朝になっても下がらず、

れんたろうは「おなかがいたい」とも言い、

実際何度かおなかを下している。

普段熱を出すこともおなかを下すこともあまりないので、

「もしかしてストレス?」とつい聞いてみたら

もちろんよくわからないといった顔をして

「森のくまさん」を歌いだしたので私もいっしょに歌った。

 

幼児棟に行く前までは、

「おにいちゃんになんねん」と嬉しそうだったのに、今は

「きょうはようじさんにいかなくてもいい?」

「ようじさんにいったら、ママ、はやくくる?」

などと言っている。

 

こうやってどんどん、社会とぶつかりながらも成長していくんだな、と思う。

 

あの4.5歳の男の子たちもいきがってるだけだったろうし。

最初は彼らもきっと泣いたんだろう。

れんたろうも、そうこう言ってる間にすぐ4,5歳になる。

 

いつかこの日のことを、懐かしく思ったり忘れたりするんだろう。

 

今日は会社を休み、ずっといっしょにいた。

「ママ、ずっといっしょがいい」

とれんたろうは言っていたけど、そうもいかない。

いつか君は私が待ってと言っても先に進んでいくようになるだろうし。

 

でもずっと味方でいたいな、とも思った。

新しいところに行くとき、

「でもまあ帰ったらママがいるし」

と思える場所でありたいなと。

ずっと彼の家であろうと。

 

月曜からはまた、新しい日々だ。

今日は居心地の良い空間で充電だ。

 

そうやって行ったり来たりしながら、成長していくんだろう。

息子も私も。

いつになっても、集団はおそろしいもの。

だからこそ息子よ、私よ、人に優しくあろうね、と思った。

 

夏になったらきっと平気になってる。

2015年4月のアーカイブ

これまでの連載