いい育児書を読むと子どもがかわいくなる2016.2.6
20代前半に失敗したなと思うことのひとつに、
就活の際に就活に関する本をまったく読まなかった、ということがある。
SPIや一般常識の問題集、「働くとは何か」という根本的な概念を問う本、
ほとんど何にも読まなかった。
(その後テストを受け、一般常識が全然だめだと気付いてようやく一冊購入した)
人間20年も生きていれば常識もつくし「働くとは何か」くらい
わかっている、だから本を読んで付け焼刃で上っ面の知識や概念を
取り入れるのは逆に均されてよくない、と思っていた。
つまり「影響を受けたくない」と思っていた。
私はそのときの自分を「ばかだなあ」と思う。
その後、私はあっさり「働くこと」の厳しさに打ちのめされた。
それでやっと「働くとは何か」の本を読んだ。
ああ、そうか、働くとはこういうことかと、
自分が何もわかっていないことに気づいた。
自分の世界はこんなに狭いのにそれに気づかず、
壁を壊されたくない、荒らされたくないと、
大して上等でもおもしろくもない自分の世界を守って、
大きくなる機会を逃していたなあと。
もっと先にこれを読んでいればよかったと、すごく思った。
それで決めたことがある。
「小説と実用書、常に2冊並行して読む」
というのがそれだ。
ここでいう実用書というのは、
「人生にわかりやすく役立ちそうな本」のことだ。
結婚のときには結婚の本を、転職のときには転職の本を、
妊娠のときには妊娠の本を、育児のときには育児の本を、
ものが増えたら片付けの本を、体調が悪くなったら健康の本を、
メンタルがきつくなったらメンタルの本を、
もともと好きでよく読んでいた小説(人生に役立つかわかりにくい本)
と一緒に必ず、無理やりにでも読むようにした。
自己啓発書も、育児書も、ビジネス書も、毛嫌いせずに読む。
「気になる」とちょっとでも思ったらすぐに買う。
こんなの読んでるなんて知られたらかっこ悪い、と思っても読む。
それで得られるものは非常に多い。
知らなかったことや考えたこともなかった価値観がこんなにあるんだと
いうことに毎回新鮮な驚きを覚え、謙虚な気持ちになれるし、
人生をより広い視野で見て歩くことができるようになる。
ページを開けば開くほど、知らなかったことが書いてある。
読めば読むほど、自分が変わっていく。
もしその内容が賛同できなかったとしても
「こういう人もいるのか」という勉強になる。
損することはひとつもない。
本当にもっと早くからこれをしていればよかった。
それで今は育児書を読むことが多い。
育児書にはいい育児書と悪い育児書があって、
読んでいて元気になれる育児書はいい育児書。
そうじゃない育児書は、「そういう考え方の人もいるのか」と
どんどん手放して家に置かないようにしている。元気じゃなくなるから。
さきほど読み終わった中川李枝子さんの
『子どもはみんな問題児。』は私にとってとてもいい本だった。
「子どもはとってもかわいい」という根本的ことを思い出させて、
さらにより深めてくれる本だった。
そして「子育てはすばらしい時間だよ」ということも。
『ぐりとぐら』や『いやいやえん』の作者である中川さんは、
もともと無認可保育所の保育士だった。
17年間保育の仕事をしながら、いろいろな絵本を書いた。
だからなのか、文章がやさしくて心地よく入ってくる。
そして、単なる育児書ではなく、絵本論、保育所論の本でもある。
この本に出てくる絵本はすべて読みたくなるし、
保育所の先生との付き合い方もちょっと変えてみようと思えてくる。
「子どもがご飯を一杯食べるのなら、お母さんは二杯食べなきゃだめよ、
と私はいつも言っています。子どもがドンとぶつかってきても、
よろけないで突き返せるくらいの体力が必要だからです。
子育て真っ最中のお母さんが、私にはうらやましくてたまりません。
なんて幸せな人だろうと思います。
子育てに追われておしゃれもできない、社会から取り残されているなどと
ぼやいていますが、そんなことはありません。
あなたはまぶしいほど輝いています」
毎日ぼーっとする暇もなく忙しくて、ついついれんたろうとのやりとりも
家事の効率化の中に巻き込まれておざなりになってしまう。
でもこの本を読んで、心が整体を受けたみたいになった。
歪んでいた姿勢が元に戻されて、れんたろうがよく見えるようになった。
れんたろうが私に
「ぼくママのほっぺただいすき。やわらかくてきもちいいから」
「ママのごはんだいすき。いっしょうけんめいつくるから」
「ママとねるのだいすきだから、ずっといっしょにねてたい」
と言う。
そういう一言ひとこと、きちんと聞こえるようになった。
「あ、今だいすきだって言ったな」と気づくようになった。
れんたろうはこんなに「だいすきだ」って言ってくれている。
私よりもずっと多く言ってくれている。
そういうこと、ちゃんとわかっていたい。
こんなにもかわいいってことわかっていたい。
「最後にもうひとつ。子どもは本当にお母さんが大好きなのよ」