朔太郎へ。2歳の誕生日にて。2018.10.1
今日は朔太郎の2歳の誕生日です。
これを読んでいる朔太郎は何歳でしょうか。
もう漢字も読めて、インターネットも使えているのなら、小学生とか中学生とかかなあ。
あなたはどんな男の子になっているんでしょうか。
あなたの母は、あなたたち兄弟を育てながら、
考えたり感じたことをこのブログに書き留めています。
あなたのお兄ちゃんが生まれたときに始めたから、もう7年くらいになります。
時間は流れて戻ってこないのだということが、あなたを育てていると身にしみてわかります。
朝起きるたび、きのうよりも大きくなっていると驚くくらい。
一人前の顔をして歩いている男の人なんかを見ると、「朔太郎もすぐこんな感じになるのだろうな」と思ったりします。
今はまだ、お気に入りの車のおもちゃがないだけでこの世の終わりみたいな顔で泣いているけれど、そのうち欲しいものは自分で手に入れるようになるんでしょうね。
みるみると大きくなり、変化していくあなたを見ていると、笑いたくなるような、泣きたくなるような、ああ時間は流れて戻ってこないのだなと、同じことを何度も何度も思います。
だからこそ、わたしはこれを書いているのでしょうね。
今日二歳になった、あなたの話をします。
ゆうべ、わたしはあなたにパンダのぬいぐるみを作っていました。
保育園の運動会の、がんばり賞なんですって。わたしは裁縫がとても苦手なんだけど、卒園までそのぬいぐるみがあなたのパートナーになると先生に聞かされたので、がんばって作りました(3時間かかりました)。
朝、だいたいあなたはわたしよりも早く起きます。
そしてわたしのもとにどてどてと歩いてきて、ベッドの上で横になっているわたしの頭をぎゅっと抱きしめ、ほっぺたを引っ付けてきます。
わたしは朝が苦手なのだけど、あなたのその抱擁が習慣になってからは、朝も悪くないなと思うようになりました。
朔太郎は、手を伸ばせば確実に抱きしめられる、幸福そのものみたいな形をしています。ほっぺたはやわらかで、つめたくて、まだ少し赤ちゃんのにおいがします。
今日もそうしてくれたので、上に覆いかぶさってきたあなたの頭を抱き返しながら「お誕生日おめでとう」と言いました。するとあなたは「ぶっぶ」と言いました。「ぶっぶ」はあなたが一番口にする言葉。あなたの大好きな車という意味なんだけど、嬉しいときや悲しいときに、頻繁に口にする言葉でもあります。きっと口にすると、安心するんじゃないでしょうか。
ちなみにあなたは今、こんな言葉を話せますよ。
「ぶっぶ」「きゅーきゅーしゃ」「あっか(パトカー)」「いっきー(ミッキー)」「がっこ(だっこ)」「わんわん」「こっか(行こうか)」「みじゅー(水)」「ちゃーちゃん(さくちゃん)」
クラスでは遅いほうだけれど、少しずつ少しずつ、自分のペースで言葉を覚えていっています。きらきらぼしとかの、歌も好きなようです。
あなたが「ぶっぶ」と言って笑っていたら、廉太郎ものそのそ起き出して、「さくたろう、2歳おめでとう」と言いました。
あなたはお兄ちゃんが大好きなので、廉太郎にもぎゅっと抱きついていました。ふたりは滅多にけんかしないし、本当に仲良しです。
下に行って朝ごはんを作る前に、あなたにパンダのぬいぐるみを見せてあげました。
「はい、どうぞ」
と言うと、あなたは「あんだ!」と笑って(わたしはこのとき初めてあなたが「パンダ」と言うところを見て驚きました)、ぎゅっと、わたしのつくった下手くそなパンダのぬいぐるみを抱きしめました。起き抜けのむくんだ顔で、いっぱい笑いながら。「よかったねー」と言ったら、パンダに顔をうずめて本当に嬉しそうでした。 わたしはまた、泣きそうな気持ちになりました。あなたの母は、この頃から泣き虫なのです。
そして、泣き虫なあなたの母は、ものを書くことを生業としています。
あなたはよくわたしがものを書いていると、わたしの膝の上に乗りたがり、わたしの両腕のなかにおさまろうとします。
そして、キーボードを叩くたび出てくる文字を、おもしろそうに見ています。
わたしはよく思うのです。
大きくなったら、朔太郎がこの風景を思い出してくれたらいいなと。
母親の膝に乗り、母親の書く文字を見ていた。そのことをずっと覚えてくれていたらいいなと。
朔太郎の「朔」には、1日とか新月という意味があります。
その名の通り、あなたは2年前の10月1日、新月の日に生まれてきました。
わたしはこの名がとても気に入っています。
「朔」は、はじまりです。
この名前には、自ら光を作り出す強さが宿っているような気がするから、わたしはあなたの名を呼ぶたびに、なんだか嬉しくなるのです。
朔太郎。
甘えん坊で、食いしん坊で、好きなものがたくさんあるね。
よく泣いて、よく笑って、おもしろいこといっぱいあるね。
これからも好きなものとおもしろいことを存分に味わいながら、
どうか、おそれず楽しんで生きていってね。
お誕生日、おめでとう。