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俺のFavoriteTunes

どもんらんってどんな人?

音楽が生活をスムーズにしてくれる。
皿洗いや月曜日の出勤だってきっとスムーズにしてくれる。
芸能人と結婚したら「会社員の一般男性」と紹介される俺が、生活の様々なシーンに合わせて選んだお気に入りの曲をコンピレーションアルバムとして紹介します。
普段は一人称「俺」ではないし、芸能人と結婚する予定もないですが。

Lazy Day Music(by Kazuki Dixon Jr) #みんfav

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先日、『みんfav』寄稿の打合せという名目で友人と飲みにいった。

約束の2日前、東京から戻ってきている友人も一緒でいいかと確認が入り、即オッケーした。なぜなら、確認のLINEにはこう書かれていたからだ。

 

「30日、東京から深井くんが戻って来てて、もしよければご一緒でどうですか? 核爆弾的におもろいっすよw」(原文まま)

 

広島にいる身で不謹慎だと言われるかもしれないけれど、甚大な被害を知る我々だからこそ『核爆弾的』を量的、質的に非常に凄まじいことが捉えられるのである。(知らんけど)

 

まぁ、深井くんという名前を見てもよくわからなかったが、実はDJとして見かけたことがある人物だった。

その時は暑苦しさのあるパリピと思っていて、いわゆるウェイ系の苦手なタイプだなという印象だった。今思えば、その頃も逃げ出したい最中だったんだろう。解放される場所として音楽がかかる場所を選んでいたんじゃないか。

 

ほんの少しの時間話しただけだが、音楽に対する知識だけでなく、愛が深いことがよくわかった。

核爆弾的な面白さというよりも、そこに惹かれた。

音楽が人を救うという言葉をぼくは大仰だと思うけれど、音楽は人を結ぶし、その繋がりに人はわりと救われる。

 

今回はそんな深井くんに「気怠いときにも聞ける音楽」をテーマに寄稿いただきました。

この『みんfav』への寄稿が東京での暮らしの清涼剤たらんことを。ラーメン以上に爽やかさをもたらさんことを。(by いしなかしょうご)

 

ーー

 

(あと10分か)

我先にという気持ちを抑え、

その時を今かと心待ちにして並ぶ。

暗闇の中ブルーライトに照らされた男達の顔がまるで夜光虫のように連なる。表情は厳しい。

 

なんてったって外は気温2度。

さすがに寒い、手が悴んでしまった。

ダクトから暖房代わりのぬるい蒸気が放たれる。その時は近い。

 

ガラガラと扉が開き暖簾が店先にかけられる。

「どうぞ」

そういえば人の声を今日聞くのは初めてだな。

ぶっきらぼうな声でも温もりを感じてしまう。

食券を買って席に着き、その時をじっと待つ。

 

しばらくすると厨房から声が、

「ニンニクは?」と一言。

もちろん答えは決まっている

「ニンニクアブラカラメデ」

これは誰かを呪うための言葉では決してない。

自分が小さく幸せになるためのおまじないだ。

これくらいの主張は許されるだろう。

 

待ちに待った瞬間がやってくる。

割り箸をパキンと割る音が号令の合図だ。

まるで待てを解かれた犬のように

それぞれが一斉に餌に食らいつく

「ズズっズズっ」

小麦とニンニクと豚骨醤油の強烈な香りが鼻腔を駆け抜ける。

すかさずチャーシューにかぶりつく。ホロホロの食感と溢れる肉汁と脂が口を満たす。

 

美味い。美味すぎる。

「あぁ…」

身も心も化学調味料にがんじがらめだ。

 

どんぶりが空くまで5分とかからなかった。

余韻に浸るまもなく次の客は来る。

席をさっと片付け、早々と店を出る。

口から漏れた白い吐息が、

まるで抜け出た魂のように宙を舞い

夜空へと消えていく。

 

帰路の途中

アスファルトから目を離して見れば

子供が母親と手を繋ぎ家を目指している

恋人達は思い出について語り合っている

サラリーマンが顔真っ赤でビールを飲んでいる

力強い光景が目の前を次々と横切っていく

 

小さい満足感の背後で大きな心残りが胸をチクりと刺す。

 

「頑張れなかったな」

「頑張ってるさ」

 

そんなやつが選ぶ10曲のブルース。

 

 

ーー

 

(おまけ)

ラーメンが食べたくなる曲

 

No.1 雲呑ガール/Kirinji
No.2 ラーメン食べたい/矢野顕子
No.3 Feeling Around/鈴木みのり
No.4 明日に向かって走れ/エレファントカシマシ
No.5 We Are No Plan/No Plan

No.1
20 Anõs Blue/Ellis Regina
No.2
Living On the Inside/Michael Franks
No.3
Memory Band/Minnie Riperton
No.4
Half the Day Is Night/Gabor Szabo
No.5
Don't Wanna Know/John Martyn
No.6
Lucky One/Ben Watt
No.7
Space Commercial/Eddie Harris
No.8
But For Now/Marlena Shaw
No.9
Everything Must Change/Quincy Jones
No.10
Sad Tommorows/Marvin Gaye

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