2020.4.12
長男からの宿題(by いしなかやすこ) #みんfav
今回の寄稿者は母です。実の母。お母さん。
何を恥ずかしげもなく、とお思いでしょうか。当然恥ずかしいです。
『みんfav』を始めるにあたり、テストケースとなる記事がほしかったし、誰でもできるといえる気軽さ、ハードルの低さを示したかったので、それらをアピールすることのできる人物として直感的に浮かんだのが母親でした。
「うちの母親でもできるんですよ、だからあなたもやってください。」
そのための人柱であり、ある意味では基準的な役割になる記事がこれから生まれようとしています。
4つ目のファウルのあと、ゲームに戻ってきた魚住が赤木に対して向かっていくシーン。
あわやファウルか、とチームメイトも驚くなかで、審判は笛を吹かなかった。ファウルを取られない基準を作ったプレイだと解説をしたのは試合を観ていた牧だったか。
突然にスラムダンクの話をしてしまいましたが、そんなプレイにも似た予感のする記事を、連載当時、そのスラムダンクを僕以上に好きだった、僕の感性に大きな影響を与えた母親が書いてくれてます。
僕はといえば、いま脳内でスラムダンクが再生されはじめ、「戻れ、センドーが狙ってくるぞ」あたりで正直ウルっときています、エア・スラムダンク恐ろしや。
さて、そんな母親に『元気が出る』をテーマに寄稿してもらいました本編をどうぞあたたかい目で見てやってください。(text by いしなかしょうご)
ーー
ある日の新聞新刊広告に驚いた。
『東大医学部卒ママ医師が伝える 科学的に正しい子育て』
大抵の母親が迷う子育ての正解がこんな所に売ってたんだ。
本能と愛情、その他手探りで三人の子たちを育ててきた。
かけがえの無い時間とは言いつつも複雑で危なっかしい毎日が積み上げられていった。
不安にかられて周りを見渡せば大なり小なり悩みを抱えて子育てに邁進中の母親達がそこ彼処に居た。
母親業の自信が揺らいだ時に相田みつを「人間だもの」とTHE BLUE HEARTS「青空」が救ってくれた。
ふらふらと歩む私の心を掴んだのはストレートな歌詞と文字とメロディであり、頭を抱えながら目にした「モンテッソーリ教育」ではなかった。
小難しい論文を自分の力に変える努力もしないで「出来れば僕の憂うつを 撃ち倒してくれれば」と声高に歌った。
先が見えそうで見えない毎日。でも、進んでいかなくちゃ。
自分の気持ちを表現するにも相手の心を掴むにも大切なのは「言葉」だと信じて、私は長男にたくさんの絵本を繰り返し読んで聞かせた。
小学校の1年生の頃、毎週土曜日に「せんせい、あのね」から始まる日記の宿題が出た。
読み聞かせのお陰と言えば恩着せがましいが、彼はその宿題を軽々とやってのけた。
この頃から彼の文章は素敵で、大したことのない日々の生活からキラッと輝くなにかを見つけ出していた。
いま、長男から母へと宿題を出されている。
「元気が出るをテーマに選曲して文章を書いてみてください」というものだ。
彼はテーマに合わせた選曲と文章をブログで連載中で、他人からの寄稿のコーナーを始め、母親の私に『元気が出る』というテーマを選んだ。
思い出にひたりながら現在と昔を行ったり来たりして、思いを言葉に置き換える作業は想像以上にハードで、すぐに横道にそれてしまう。
生きる力を感じる曲が好きだ。
長男の歌う曲が好きだ。
そしてどういう訳か、彼の手が好きだ。
家族を守ろうと差し出す手を美しいと思う。
私は答えのない問いに正解出来た気がしている。
- No.1
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あせ/N.S.P
- No.2
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風に立つライオン/さだまさし
- No.3
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青空/THE BLUE HEARTS
- No.4
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イチブトゼンブ/B'z
- No.5
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どうしますか、あなたなら/阿部真央
- No.6
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家族の風景/ハナレグミ
- No.7
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花瓶の花/石崎ひゅーい
- No.8
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正解 (18FES ver.)/RADWIMPS
- No.9
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ファイト!/中島みゆき
- No.10
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恋に気づいて/浜田 省吾
- No.11
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4人/唄人羽
- No.12
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外は白い雪の夜/吉田拓郎
- No.13
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I Love You/OAU
- No.14
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サラダの国から来た娘/イルカ
- No.15
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ここに幸あり/大津美子