2019.8.31
平成とはなんだったのか
キリンの秋味が店頭に並んでいる。
季節はもう秋である。
元号が変わったことについて、三度も記事にすることは考えてもみなかったが、それがみんfavで彼女の選んだテーマだったので改めて平成について思い返している。
みんfavのテーマは俺favでも書くと決めている。
平成とはなんだったのか。
真っ先に頭に浮かんだのは、テレビの映像だった。
高層ビルから煙が上がっている。
大変なことが起こってしまった、そう思ってみんなが見ている画面の中にもう一機飛行機が現れ、そのままビルに衝突する。
その映像を果たして僕は本当に見たのだろうか。映画か何かのワンシーンと混同しているのではないか。そう疑いながらも、実家の居間の風景と夜のニュース番組の画面に釘付けになっている僕が思い出される。
自爆テロに代表されるテロの悲惨な現場というのは、事後に確認されることがほとんどで、テロ行為の瞬間を捕らえることなんて皆無といえるだろう。
だからこそ、写真週刊誌ではたまたま現場に居合わせた、または報道陣が取材をしている中で起こった事件については特大スクープのような扱いで賞賛される。
9.11アメリカ同時多発テロと名前をつけられたこの事件は第一のテロを報じている最中に第二のテロが目の前で起こった。
数千人の死者が出る事件が目の前で発生した経験を多くの人が共有していることはひどく異常な事態だと思う。
つい今年5月まで平成だったにもかかわらず、僕にとっての平成はその頃のように思われる。
当時、高校2年生だったぼくにとって、そして級友たちにとって、遠く離れた場所で起こったテロの影響は意外にも大きく、中国に行く予定だった修学旅行は急遽国内北海道に変更になった。
別にものすごく中国に行きたかったわけではないし、むしろ美味しいものを食べられて良かったとも思うが、テロの影響が自分自身にも発生したことが僕の記憶に作用しているのかもしれない。
あるいは何かを思い返すというとき、昨日や一昨日、また、1、2年前のことではなく、少し離れた頃のことを考えがちなだけかもしれない。
結婚やこどもの誕生という華やかな思い出だって立派な平成の出来事だというのに。
土門蘭が言うとおり、平成というのはグレーなのだろう。キラキラと輝いているとは到底思えない。
それで、ふと、チコちゃんでやっていた豆知識を思い出した。
「ホコリがグレーなのは、色んな色が混ざっているから」というもので、平成がグレーな理由もただただ暗澹とした日々の集合だからではないような気がする。
というよりは、どの時代でも誰の人生でもそういう意味ではグレーなのだ。
不幸について、悲しみについて、そういうものはとかく大きく語りがちであるし、世界のものは自分のものでもあるとして共有しがちである。
それにひきかえ、幸せというのは個人の奥の方に大事にしまいがちだ。
たとえば、アイスが食べたいと思っていたら奥さんが冷凍庫からアイスを出して勧めてきて、あー以心伝心だなーとか、そんな些細な幸せについては、当の奥さんとさえ共有しなかったりするわけで。
そういう色んな気持ちの集合体がグレーな平成という時代を生んでいるのだ、というこじつけのような結論でお茶を濁そうと思う。
そろそろ奥さんがそのお茶に合う、友人が持ってきた余りのケーキを出してくれるんじゃないか、そうして令和という時代も様々な感情の泡沫が膨れては弾けてグレーに染まっていくのだろう。
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