2021.3.9
身の丈に合った暮らし
2月は逃げる、3月は去る。
2月月末の更新をサボったため、まさに逃げるように暮らしている。
と言っても、「先生、原稿は?」と催促してくる編集者などいない。
完全自己責任の連載で、誰かから逃げるような必要もない。
いるのは自分の中の罪悪感という、形のない鬼である。ま、そういう月もあるよね、という軽い場合もあれば、なぜなぜを繰り返しながら本質的な自身の問題を叩きつけてくる場合もある。
なぜなぜを7回繰り返すことにより、本質的な性質に辿り着くというラダリング法を習ったのはゼミだったか、マーケティングの授業だったか、はたまた、般教の心理学だったか。
いずれにせよ、学部の卒論はこのラダリング法を用いて本の帯の比較を行った。
結局、万人に効果てきめんの帯などなく、賞を取ろうが、あっという間に増刷しようが、70万部売れようが、リリー・フランキーが嫉妬しようが、本の中身をパラパラとめくって考えるのである。
閑話休題。
今月の罪悪感はといえば、まぁ、なくはないかなという程度。
ただ、やらなきゃなあという思いがうっすらと、でものぺーっと鼻の裏側から脳の外周を覆うように占拠していて、これはこれで辛く、日常生活の隙間に漫然とやれていないことが悔やまれるというやつで、そこにメンタルのキャパを持ってかれるくらいなら、奮起して、夜更かししてやってしまう方が健康的みたいな、そういうわけで、ようやっと布団の中でケータイのメモを開いている。
やらなきゃいけない、との思いからこんな言い訳めいた文を長々と書いてしまった。
身の丈に合った暮らしについて書こうと思ったのは、友人の働いている広島のお店のコーヒーをネット通販で買ったからだ。
おまけの品をいただいたお礼と、ドリップバックの心地よさについてLINEしたときの言葉。
「インスタントより気分が上がるし、挽いた豆より長持ちで、うちのミルは手動だし、ドリップバックくらいが毎日飲むのにちょうどよいです。」
ほんとこれ。
未だに雑誌に載ってる暮らしに憧れるし、つい雑誌買っちゃうし、似たような雑誌ばかりだし。
あの生活感のあるようでない暮らしは、結構な節制をして、と言ってもお金の話ではなく、美意識に対するストイックさというやつで、ちょっとした努力の積み重ねと表現すると簡単に思えるけど、リモコンを元に戻す事さえも億劫で蔑ろにする暮らしの中では再現性が低くなる。
ちょっと人間味あるところを出してくるけども、その人間らしさも見せられる飾りでしかないんだよ。見せるための人間らしさ、人造的、人為的人間味。
その人たちが難なく実行する美意識の中に、豆を挽いてコーヒーを淹れるシーンはよく出てくる。
これは嫉妬である。リリー・フランキーでなく、僕の。美意識よりも楽を選ぶ怠惰な僕の嫉妬。
こういう事だよな、とドリップバックのコーヒー淹れながら思う。
少し余裕のある朝を過ごすため、豆を挽いて飲むおいしいコーヒーを諦める。でも、インスタントよりは贅沢な朝を楽しみたい。
インスタント飲むより身分が高いということが言いたいのではない。気分の問題。テンションの問題。
大切なのは、身の丈、というか、限られた資源の中で、何をどう選ぶのかという事で、僕はゆったりとした時間のため、ドリップバックを選んだ。他にも電動ミルを買う方法だってあったわけだが、コーヒーについてきたおまけや、このブログの種になったことも含めて最高の選択だったと思う。
割と出どころのはっきりした噂によると、自分はもうじき次長というポストに着くことになるらしい。課に限定されていた責任が、支店全体に広がる。
身の丈に合っているかはわからないが、それ相応の振る舞いをしなければならない。
自分の能力を、そしてキャパシティをどう使っていくのか。
少なくとも手段に囚われず、本質的な成果を見据えて動いていきたい。
- No.1
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コーヒーとコート/オレンジスパイニクラブ
- No.2
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離れて暮らす二人のために/スカート
- No.3
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Good Night Station/Yogee New Waves
- No.4
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香りと影/冨田ラボ Feat. キリンジ
- No.5
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All You Need Is WORD/Cymbals
- No.6
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Love Is All We Need/西野カナ
- No.7
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かみつきたい/カネコアヤノ
- No.8
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おだやかな暮らし/クラムボン
- No.9
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Baumkuchen [Album version]/大橋トリオ
- No.10
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恋はいつも幻のように/ホフディラン
- No.11
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ウィンター・コンサート/いしだあゆみ & ティン・パン・アレイ・ファミリー
- No.12
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夜は静か 通り静か/はちみつぱい
- No.13
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コーヒーと恋愛/サニーデイ・サービス
- No.14
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夕霞団地/illiomote