音読

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第6週 So Many Mike / Peelander-Z

今回紹介する大好きな曲は、音楽に常識や固定概念が不要ということをダイレクトに教えてくれたバンド・Peelander-Z(ピーランダー・ゼット)の“So Many Mike”です。

 

 

みなさんPeelander-Z知ってますか?動画を見てもらえばわかるかと思うのですが、戦隊ヒーローのコスチュームに身を包んで、パンクをしてるグループ。電撃ネットワークを彷彿とさせる黄色いおっさん。これが私が大好きなバンドです。

 

 

メンバーは全員日本人。彼らはニューヨークに拠点を置いてバンド活動をしています。

私が彼らに初めて出会ったのは2011年。震災直後に向かったSXSWの会場でした。津波で大荒れる映像が脳裏に焼きつきながらも、半年以上も前から決まっていた渡航だったため向かったテキサス州オースティン。もやっとした複雑な気持ちと、楽しみにしていた一イベントへの興奮が入り混じったカオスな心理状態で見たバンドがPeelander-Zでした。

 

 

まず衝撃的だったのは、彼らはライブ中、楽器をお客さんに渡すこと。

メンバー全員が、です。

 

 

ライブ中に楽器を手放した彼らが何をするのかというと、ステージから降りお客さんのいるフロアで大縄跳びを始めたり、人間ボーリングをしたりします。

 

 

 

 

このことについてメンバーに聞くと『俺ら演奏も、歌も下手だしお客さんが弾いた方が盛り上がる』からだそう。

 

 

知り合いに連れて行かれて彼らのライブを最前列で見ていた私は途中でステージに上げられ、ギターボーカルのイエローに鉄の皿と棒をおもむろに渡され、マイクの前に立たされました。突然のことに動揺しながら回りを見渡すとドラムも、ベースも、屈強なアメリカ人に代わっていました。ワケがわからず、無我夢中で鉄の皿を叩きました。

 

 

とてつもなく衝撃的でした。

バンドが、演奏をしないって、どういうこと?!

 

 

日本のライブは、SEが流れて、ツアーのセットリストを演奏して、アンコールがあって。どんなライブも定型の流れがあって。海をひとつ越えただけで見たこともないライブが観れるなんて、自分の中にあるちっぽけな常識を覆された瞬間でした。

 

 

このバンドに出会ってからというもの派手なアクションだったり、見たことのないパフォーマンスをするバンドに惹かれるようになりました。ライブが、ひとつのエンターテイメントであることが理想的。

 

 

今のところ彼らを越える衝撃をもらえるバンドに出会えていません。こんな体験をしたから私は、またどこかで私の常識を覆してくれるバンドに出会えるのではないかと、ライブハウスに通い続けているのかもしれません。私はそんな彼らが大好きで、日本でもっと流行ればいいのにと常々思っています。

 

 

中でも好きな、“So Many Mike”はすぐに歌える名曲。アメリカではあいつも、こいつもマイク、っていう日本人でもくすっと笑える曲です。

ぜひいろんな人に見て、聞いて、彼らのライブを想像してもらえたら嬉しいです。

 

 

 

text:岡安いつ美

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